なみのおと。(受験終了まで休止中)

受験終了まで更新休止中です。

Pianoforte Monologueのお話

ε( o・ω・)o

ざらしです 

 

 

 

前回の記事からちょうどいい1ヶ月程度と言ったところ。

件の3rdも終わりそろそろ何か新しいものを書きたいなーと思っていたところそれはすぐに見つかったので。

いずれ何らかの形でまとめておきたいとは思っていたのだが今回の3rdを経て書かねば、伝えねばと強く思った次第。

とまあそんな訳で今回は私の1番好きな、そして何より1番大切な曲Pianoforte Monologueについて書いていきたいと思う。

内容に3rd公演のネタバレが含まれるのでネタバレNGという方は ⚠3rdネタバレゾーン を飛ばして読んで頂きたい。

 

(今回の記事はこの曲を、歌詞を知っているという前提で話を進めていくのでもし知らないよ〜って方がおられたらまずは↓のリンクから試聴動画へ)

 

https://youtu.be/qtP012IpWqQ

 

 

1.桜内梨子について


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そもそも彼女はどんな人間なのか。

この曲について話していくにあたってまずは桜内梨子という少女について少し掘り下げていく必要があるだろう。

知っての通り桜内梨子は高校2年生、とある理由で春に東京の国立音ノ木坂学院から内浦の私立浦の星女学院高校へ転校してきた転校生。

その理由は自身のピアノに対するスランプ。

元々彼女は音ノ木坂へ入学する前からピアノのコンクールへ出場するほどの実力を持っており入学後もその力を存分に発揮する事が期待された。

そんな彼女だったが入学後、その期待が彼女にとっては重圧となり結果ピアノのコンクールでは思うような結果が出せず挫折してしまった。
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過度な期待は人格を、時として人そのものを殺してしまう。

何においても言える事だ。相当ひねくれた人間でない限り他からの期待には応えようとするだろう。

そしてその期待は目的達成への活力になるのと同時に、

「それを阻害する何か」にも成り得る。

状況によって様々であるがスポーツ競技で例えるなら結果への不安、恐れと言った所だろうか。

経験者ならわかると思うがこれらの要素は多くの場合目的達成への障害物となる。

恐らく彼女もこのパターン、そしてそれ故のこの結果だろう。

 

そしてこの結果は彼女の中に思い出として、しかしトゲとして残ってしまう。

そんな自分を癒すべく、重圧から逃れるべくそして自分が演奏するはずだった楽曲「海に還るもの」「海の音」を聞く為にこの遠く離れた内浦の地へ引っ越してきたのだ。

 

2.桜内梨子の過去

さて、ここまで桜内梨子という人間についていわばプロローグのような形で紹介してきたのだが読んでわかる通り、彼女は大きな傷を負って内浦へやって来た。

自らを癒すため、重圧から逃れる為と言えば如何にも目的がハッキリとしており自らをコントロール出来ている、自己回復できるようなしっかりとした高校生という印象を与える

……

果たして本当にそうだろうか?

勿論自己回復出来るに越したことは無いだろう。

しかし若干高校2年生、それも元居た地には居られず遠く離れた地へ引越さざるを得ない程大きな心の傷。決して下に見る訳では無いがアニメ1期、2期を通して見てきた彼女にそこまでの力が備わっているとは到底思えない。

だからこそ正確な表現でいけばこうなるだろう

内浦へ助けを求めに来た

それも恐らく藁をも掴むといった表現が近いのではないか?と思えるほどに

それだけ追い込まれていたのだろう。

はっきり言って元々住んでいた所から引っ越すという事自体異常であり、これだけで事の重大さが十分伺えるというものだ。(娘の為にここまでしてくれる桜内家の家族愛も流石と言ったところである)

そんな彼女であっても幼い頃はピアノへ親しんでいた。


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だってピアノ弾いてると空飛んでるみたいなの!

自分がキラキラになるの!お星様みたいに!!

これは彼女の幼少期の言葉だ。

この時の彼女にとってはピアノこそがキラキラになれる場所であり、また自らを輝かせてくれる最高のパートナーでもあった。

しかし今となってはどうだ。

 
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ピアノとは過去の傷であり
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いざ対峙してみるもののコンクールでの出来事がフラッシュバックしてしまい、鍵盤にすら触れる事が出来ない程の負の遺産と成り果ててしまった。

それ程にまで彼女を追い込んだ周囲からの期待、それに作用した物は何なのか?

答えは先に書いた通り、恐らく彼女の期待に応えなければという義務感にも似た思いではないのだろうか?

故に彼女は音として完成された「綺麗な音」を求め続けた。

 

少し話はズレるが完璧であるというのは言葉で言うのは簡単であっても実際にやってみると非常に難しい物だ。

完璧である為にはその主題に対して全ての要素が揃っていなければならない。言い方を変えれば何か一つでも要素が欠けた途端それは「完璧」では無くなる。

スポーツで例えるなら体操が分かりやすいだろう。

演技においてちょっとした着地や手の動きが乱れた途端それは減点され「完璧な演技」では無くなる。

他の様々な事にも言えるが「完璧」を達成する難しさはその経験者が1番よく知っているはずだ。

そして私自身小、中学生の頃にピアノをやっていた程度なのでそこまで深い音楽知識がある訳では無いがこの「綺麗な音」というのは恐らく表現上の「完璧」にかなり近いものではないのだろうか。

そんな物を若干高校2年生に求めるというのだ。

壊れてしまうのは当然の事だろう。

 

 

3.桜内梨子ともう1人の少女から見る孤独

さて、前置きが長くなってしまったがここからが本題だ。

ここからはPianoforte Monologueという曲全体について考えて行きたいと思う。

そもそもこのPianoforte Monologueはどの時制で語られているのか。

恐らくこれは現在でほぼ考えが一致するだろう。

私の中流れ出した 音が沢山あるの

綺麗なだけじゃなくてでもね どこか優しい音が

さて、前半で書いてきた桜内さん

曲冒頭でこのように語っている。(Monologueなのでまあ多少はね?)

まず私が引っかかったのは綺麗な「だけ」という部分だ。

2で書いた内容と被るのだが恐らく以前の彼女にとっては「綺麗な音」が全てだったのである。

常に「綺麗な音」を求め続けたのだ。

期待に応える為、そしてコンクール有力候補桜内梨子であり続ける為に。

そして彼女は常に勝ち続けなけらばならない。自分に、音楽に、そして周りからの期待に。

しかし負けてしまった途端、コンクール有力候補桜内梨子を構成する要素は少なからず崩壊する。

それ故だろうか。結果的に彼女はある物に陥ってしまった

孤独だ

「綺麗な音」以外のあらゆる音を拒絶

いや、聞こえなくしたのだろう。

それゆえの音の孤独だ。

そしてこの孤独こそがPianoforte Monologueの原点であると私は考える。

それと同時に私はこれによく似た構図の1人の少女の事を思い浮かべた。


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Saint Snowの鹿角理亞だ。

目的は少々異なるが彼女もまた桜内梨子と同じく勝ち続けなければならなかった。

故に傍から見て異常とも思える程に「勝利」へ固執した。

その目的は何か?

人によって様々な考えがあると思われるが私はその1つにSaint Snowとして姉と一緒に居られる共有の時間があると考える。

結果話になってしまうが彼女は2期9話、Saint Aqours SnowとしてAwaken the powerを完成させた後姉の聖良へSaint Snowは続けない Saint Snowとしての終わりを自ら宣言している。


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それ程にまで彼女の姉に対する思い、そしてSaint Snowとしていられる時間はかけがえのない物だったのだ。

前にも言ったかもしれないがラブライブは時間という制限に対して異常とも思える程忠実である。

ラブライブ!サンシャイン!!その物の話になってしまうがこの物語は青春の有限性というとてつもない効力を持つ、絶対的な枷を嵌められた中で如何に輝くかという物語ではないか?と私は考えている。

故にラブライブ!サンシャイン!!という物語においてこの青春の有限性、いわば時間の制約は絶対的だ。

姉の聖良は3年、妹の理亞は1年。

両者にとってSaint Snowとして居られる時間は長くてあと1年、それも負けてしまった時点で終了してしまういわばサドンデスのような物だ。

だからこそ妹の理亞は勝利に固執したのではないか?と考える。


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それも周りが見えなくなる程、圧倒的な実力を持ち普通なら何かしらのアプローチがあってもおかしくない程の結果と名声を持ちながらも周囲から近寄りづらいとされる程に。

だからこそ鹿角理亞は1人の少女として孤独だった。

 

 

4.次への展望

ここまで話してきた2人の孤独

物や対象は違っても構図的によく似ている(ように私は思える。)

そして何より恐ろしいのはラブライブ!サンシャイン!!の物語における孤独は数多く存在するのだが、中でもこのパターンの孤独は勝負において、また競技において敗北の条件となってしまう事である。と言うより現在まで書いてきた孤独の状態である時、ラブライブ!サンシャイン!!の物語において勝利する事は出来ない。

勝利を望むが故の孤独、しかしそれが勝利の妨げになってしまうのだ。

しかしこれがラブライブ!サンシャイン!!の現実である。(実際にアニメを見てきた人であるならよく分かるはずだ)

ではこの孤独がPianoforte Monologueという曲において、ひいてはラブライブ!サンシャイン!!の物語においてどう変化していったのか。

そして最終的に桜内梨子

コンクール有力候補としての桜内梨子

1人の女子高校生としての桜内梨子

Aqoursとしての桜内梨子

逢田梨香子の中に存在する桜内梨子

全く別次元に1つの独立した存在として在る桜内梨子が見つけた答えは何か、そこから何を想いどう意味を見出したのか。

全ての事象に意味を付与する、ラブライブ!サンシャイン!!に登場する9人の中でも極めて異彩を放つ桜内梨子という1人の少女を次の記事で私なりに紐解いていこうと思う。